ライオンズクラブに入会した目的は何ですか
― メンバーであることとは ―
今あなたはライオンズクラブのメンバーです。ではメンバーであるということは、どういうことでし ょうか。そして、なぜメンバーになっているのですか。
あなたは企業のリーダーとして、企業が存続できるように利益をあげることを目的に、また、企業活動を通して社会の発展に貢献することを目的に、日々の業務に参加しているはずです。では、ライオンズクラブの一員としてはどうですか。メンバーとしてのあり方を今一度 考えてみようではありませんか。
★入会を誘われた時、どんなことを考えたか何人かのメンバーに聞いてみました
★入会してバッジをつければ、その日からライオンズクラブのメンバーです
世間の人はバッジを見ただけでは、その人が新しいメンバーなのか、古くからのメンバーなのか区別がつけられません。バッジをつけていれば、入会式を終えたばかりの新人であっても、世間の人はあなたに対して、ずっと前からライオンズクラブのメンバーの一員であり、素晴らしい活躍をしてきた人であろうと期待します。
でも、一歩譲って新人であると認めたとしましょう。それでは、一体いつになったら新人ではなくなるのですか。まして、何年も在籍しているメンバーが「ライオンズのことは私もよく知らないよ。まだ新人だから」と言ったとしたらどういうことになるでしょう。
あなたは野球を知らないで野球チームに入りますか。野球チームに入っておいて「私は野球なんてよく知らないよ。まだ新人だから」と言いますか。
アクティビティについて質問されたとき、的外れな答えをして周囲の人に変な顔をされる前に、ライオンズクラブについて理解し、所属クラブの社会奉仕活動について、よく知っておくべきではないでしょうか。
ライオンズクラブは学校ではありません。先輩は先生ではありません。ライオンズクラブのことは「先輩が教えてくれない」という前に自分で勉強し、自分でメンバーとしての意義を見つけ出すことです。
それも入会したらすぐに!
★メンバーであるということはどういうことか
ライオンズクラブは業界団体でもなければ、親睦団体でもありません。一つの社会奉仕団体です。メンバーは奉仕活動をする上では全員平等です。社会的地位も、肩書も、年齢も、貧富も一切関係ありません。メンバーとなった以上クラブ内では皆一人のライオンです。
とは言っても、ライオンズクラブも社会の縮図ですから、いろいろな考えのメンバーがいるのは事実です。そして、あなたの考えが周囲と違っていると思うこともあると思います。しかし、友達を作りたい、勉強をしたい、そして社会奉仕がしたいと思って入会したのなら、自分からそのように考え、行動しなければ誰もやってくれません。野球のチームに入って、サッカーをやりたいと言っては困ります。サッカーがやりたければサッカーのチームに入るのが普通です。
では、メンバーであるということはどんなことか、また、メンバーとしての資格とはどんなものでしょう。
◎メンバーとしての義務と権利(会則第3条)
●メンバーの義務
会則に決められているメンバーとしての基本的な義務は次の通りです
1.例会出席
2.速やかな会費納入
3.クラブ活動への参加
4.地域社会に良い印象を与える行動
そして、ライオンズクラブの「スローガン」、「モットー」、「ライオンズの誓い」は言うまでもありませんが、「ライオンズ道徳綱領」も我々の行動の指針です。ライオンズクラブの「目的」とは何かを確かめるときに、今一度一緒に確認しておいてください。
(会則第1条、第2条)
ライオンズクラブは世界最大の国際的社会奉仕団体なのです。そして、所属クラブも含めて、ライオンズクラブの歴史、有り方、ルール(標準版クラブ会則)によく目を通しておきましょう。 (「ライオンズ必携」参照)
●メンバーはいつか必ず役員になる
なぜなら、役員になることは、ライオンズクラブがその目的を遂行するための最大のアクティビティだからです。というのは-
単一クラブにおいて、アクティビティという最大の目的を達成するために、全メンバーの力を集めるべくクラブを運営していくのはそのときの執行部です。会長を始めとする各役員の力によって、メンバーの力がアクティビティにむけて結集され、その力が最大限に発揮できたとき、クラブは最大のアクティビティができます。だからこそ役員になってメンバーをまとめ、その協力を得られるようにすることが最大のアクティビティとなるのです。
そして、ライオンズクラブの役員構成も一つの組織ですから、会社に似ていて、部長や課長、取締役にあたるような役があるかもしれません。でも、社会での肩書や地位がなんであれ、クラブ内でそれぞれの役職についたときは、その役目が効果的に演じられなければいけないのです。
そして、自分たちの選んだ役員を批判してはいけません。選んだのは自分たちだからです。人が役員をやっているときに「私は役員じゃないから知らないよ、勝手にやれば…」といっている人に限って、自分が役員をやっているときには「誰も私を手伝ってくれない」というのです。
●全員が次期の役員候補です
個人であれ、法人であれ、企業にとっても、また家庭においても、後継者の育成はかかせないものです。これはライオンズクラブにおいても同じです。でもライオンズクラブでは、全員が明日のクラブを担う人たちであるはずですし、だれでも次期役員候補であるといえるところが違います。
問題はクラブ運営に慣れているかどうかです。しかも任期が1年の役員ですから、運営に慣れた執行部候補が次々といてくれないと困ります。ところが、元会長が何人も理事や委員長になっているようでは、新人が役員としての勉強をする場所がありません。そうなると、クラブ運営の未経験者ばかりとなって、つい「あの人にはまだ任せられない」ということになってしまいます。新人にどんどん経験してもらうと同時に、それを先輩が温かく見守って、クラブ運営になじんでおいてもらわないと、クラブ運営は活性化しませんし、やがて行き詰まり、クラブの衰退につながります。
●参加すること・協力すること
クラブは学校とは違い、大人の集まりです。人から教えてもらったり、与えてもらったりするところではありません。自分から参加し、求めていくことが必要です。
自分にもクラブメンバーの一員としての義務と権利があります。「私は偉いんだ」という覇権主義を排除するだけでなく、積極的にクラブ行事に参加しなくてはならないと思います。「一人の英雄もなく、一人の非協力者もない」ことが理想ではないでしょうか。
そして、誰もが役員になり、役目が終われば今度は一人のメンバーとなって、新しい役員を助けていくのが大人だと思いませんか。ライオンズクラブは自分の会社ではありません。皆平等で、一人のメンバーです。だから、役員も全員による当番制になっているのです。
★メンバーは社会のリーダーです
今、ライオンズクラブは、社会に対して指導力を発揮することが望まれています。
ライオンズクラブが、その存在を地域社会に認めてもらうためには、クラブを支えている一人一人のメンバーが指導力を持って地域社会に接していかなければなりません。そして、ライオンズクラブが芯になって、その地域社会を巻きこんで、より大勢の力でアクティビティをしていくことが住みよい社会を作っていくことではないでしょうか。
それがライオンズクラブをPRすることであり、その働きかけに必要なものが指導力です。口で言うだけで、行動が伴っていなければ誰もついてきません。クラブメンバーとして率先して行動を起こし、皆の心にボランティアという熱い火をつけるのが指導力です。
指導力とは、いろいろな手段、方法によって、相手をより良い方向、より望ましい方向に動かす力です。その力を持った人々がメンバーとして集まったのがライオンズクラブです。指導力は社会生活のすべてのことに当てはまります。営業、販売、教育、競技、経営、どこにも必要な力が指導力ではないでしょうか。政治、国際外交もそうです。今、日本は一国の首長の指導力が問われています。政党も企業もクラブも全て同じことなのです。
●「尊敬する」ということは「私を尊敬しなさい」と人に要求されてするものではないはずです。何も言われなくても、自然にその人に対して頭が下がってしまうのが「尊敬する」ということではありませんか。「尊敬される長老」になりたいものです。
●「初めてだし、忙しいからできない」と役につくことを断る人がいますが、人は誰でも、小さい時から初めてのことを次々と経験し、こなしてきたからこそ、今の地位にあり、人生の経験者としての自分がいるのです。そして忙しいのは誰も同じです。初めて社長になる時、「私は初めてだし、忙しいからできない」とことわりましたか?
なにごとも初めてだからやってみるのです。
●名選手必ずしも名監督になれるとは限りません。選手と監督は仕事の中身が違います。名監督といわれる会長か幹事になるために、平常から会長や幹事の仕事を手伝い、よく見て、勉強しておくことが必要です。
●今や日本は世界第二のライオンズ国といわれていますが、メンバー数やアクティビティ金額だけが世界第二でいいのでしょうか。社会奉仕活動に対する発言力においても、世界第二になりたいものです。社会のグローバル化が叫ばれる今日、日本国内だけのライオンズクラブでいたのではいけない時代がきています。世界の中の一員として、もと世界に進出し、世界のことを知り、他国のよいところは取り入れて、日本のよいところは世界にPRする時代になりました。世界のライオンズクラブのリーダーをも目指したいものです。
働き盛りの60歳代で国際協会の会長に就任するには、今のルール・慣例では最短距離でいっても、クラブ会長に就任してから10年はかかることを考えると、少なくとも50歳代、できれば40歳代でクラブ会長をやっていいなければならないのです。
★メンバーは楽しい例会を望んでいます
楽しい例会とはどんな例会ですか。
寄席のように笑わせてくれる例会ですか?
それともゴルフ場で例会をやりますか?
まさか「メンバーとは会費という入場料を払って、楽しい例会を見にきたお客様である」と思っているのではないでしょうね。
人によって「楽しい」の意味は違います。趣味や考え方の違うメンバー全員を満足させる楽しい例会などはありません。また、執行部が楽しくしようと工夫しても、メンバーが応じてくれなければ、どうにもなりません。例会を楽しくするのもつまらなくするのも、そこに集まっているメンバー一人一人の問題であり責任です。
「こんな例会はつまらない」という言葉ほど例会をつまらなくするものはありません。メンバー一人一人が自分で例会を楽しくしていかなければ嘘だと思います。
それと、「楽しい」というと、すぐ「仲良し」につながります。たしかに、仲が良いということは仲が悪いよりもずっといいことではあっても、仲良しクラブを作ることが目的ではないのです。仲良しが協力しあって我々の社会をよくすること、社会奉仕活動に邁進することがライオンズクラブの最終の目的なのです。
「1時間の例会ではメンバー同士のコミュニケーションがとれない」という人がいますが、1回の例会で一人の人と話ができれば、10回の例会に出席することで、10人の人とコミュニケーションが取れます。
例会場にきて挨拶もしないでいて、どうして相互理解ができるのですか?合同例会でも、地区大会でも、国際大会でも、知り合いにしか声をかけないのはなぜでしょう。皆ライオンズクラブのメンバーとして同じ志を持つ同志ではありませんか。ライオンズクラブを通して、もっと友達の輪を広げましょう。
ライオンズクラブという団体があったからこそ、ライオンズクラブに入会したからこそ、今付き合っている素晴らしい仲間、商売を離れて心から友人として刺激しあえる人、語り合っていける人と知りあえたのです。
この出会いを大事にしていきたいですね。
自分の商売を離れて、自分の意見を率直に話せ、他業種の人と意見の交換ができる場がライオンズクラブなのです。その交換の輪を所属クラブから、地区へ、世界へと拡げることこそ国際的といわれる団体の特権なのです。
★会費という名の授業料
ライオンズクラブの会員の資格は「善良な徳性の持主で、地域社会において声望のある成人」(会則第3条)です。でも、「徳性」とか「声望のある」という言葉だけではなかなか理解できません。それぞれの言葉が具体的な形や行動で示された時、初めて他人に分かるのです。
信頼され、親しまれ、一家・一社・一地域の柱として存在感のある人間になりたい、とは思いませんか。
スピーチもうまければ、文章もじょうず、遊びも付き合いもいい人間になれるように、クラブ例会・行事に積極的に参加し、いかに自分の話をメンバーに聞いてもらうか、例会をスピーチの練習の場とし、よりよい文章が作れるようにクラブ会報などを文章勉強の場として利用したいものです。
十人十色
ライオンズクラブは人それぞれに自分の考え方を持っている人が集まっています。自分の仕事上の信念ややり方、考え方があっても、それをそのままライオンズクラブに持ち込むと必ず違う考えと衝突します。まず人の考えを聞く耳を持つことです。
他山の石
先輩なのに腰の低い人がいます。大勢の人から慕われている人がいます。素晴らしい人がいたら、他山の石として参考にし、真似させてもらいます。一方「なるほどあんなことをするから嫌われるんだな」ということを見たら、反面教師として真似しないようにします。
要は、ライオンズクラブを、人の振りを見て自分の振りを直す勉強の場として利用するのです。ライオンズクラブの会費もこうした勉強の授業料として払っているのだと考えてみましょう。
また、自分の権利や人格を、他人から認めてもらうには、相手の権利や人格も認めなければなりません。
少なくとも自分がされていやなことは、人にしないようにするのと同時に、相手の権利や人格を尊重することが必要でないでしょうか。
ライオンズクラブとは
― 入会勧誘の手引き ―
一人でする社会奉仕活動には経済的、労力的に限りがあります。しかし、同じ志を持った人が集まれば集まるほど、その力は大きなものになります。ライオンズクラブがいつもメンバーを増やそうとするのも、新しいクラブを作ろうとするのも、それだけ社会に対する働きかけを大きくしようとしているからです。一人でも多く、同志を、メンバーを迎えようではありませんか。
★メンバーになるにはスポンサーが必要です
既にメンバーとなっている人が、入会希望者のスポンサーとなってクラブに推薦し、クラブが承認したとき初めてメンバーになれます。同じように一つのクラブを作るのにもスポンサーとなるクラブかキャビネットが必要です。それを国際協会が認証したとき初めて一つのライオンズクラブとして存在できるのです。
ライオンズクラブは、国際協会とのつながりのある世界最大の国際的社会奉仕団体なのです。
★ライオンズクラブは地域社会に奉仕するクラブです
ライオンズクラブ結成の目的の一つは「地域社会に奉仕する」ことです。そこで、単一クラブの活動地域を決定し、その地域社会に対して奉仕活動をするようにしています。というのは、同一地域に重複してクラブを作ると、奉仕活動がその地域にかたよってしまうと同時に、クラブのない地域には奉仕活動が行なわれないという恐れがでてくるからです。(国際会則第3条)
だから、所属クラブの地域を大切にしたいものです。アクティビティもまず第一に所属クラブの地域にしてこそ、地域からのその存在を認めてもらえるようになるのです。地域から浮き上がったクラブ、地域にライオンズクラブがあることを知られていないクラブは、特定の人間だけが集まった仲間うちの遊びのクラブ、といわれても仕方ありません。
★ライオンズクラブはこうしてできました
1.世界最初のクラブができたとき(国際協会の創立)
1917年(大正6)年アメリカ・シカゴで、あるビジネス・サークルに入っていたメルビン・ジョーンズによって「せっかく集まった会員たちが、ただ食事をしながら商売の話だけで終わるのは残念だ。なんとか社会の向上に役立てたい」との願いから結成されました。
その後次々に枝分かれして現在世界の役180カ国に役4万3千のクラブがあり、約140万人のメンバーが参加しています。
なお、国際協会の本部はアメリカ・イリノイ州オークブルックにあります。
日本人で初めて国際協会の会長になったのは故L村上薫。なお、二人目になるはずだった故L小川清司は残念ながら第一副会長の時に亡くなりました。
2.日本最初のライオンズクラブの誕生
太平洋戦争後の1952(昭和27)年に、マニラライオンズクラブがスポンサーとなって、東京ライオンズクラブを結成したのが日本での最初です。
そして、今日本全体では約3千2百クラブ、約16万人のメンバーが活躍しています。
また、東京23区が含まれる330-A地区では、188クラブ、8151人(1997年2月末現在)のメンバーが活躍しているのです。
3.所属クラブの創立とその生い立ち
あなたは自分のクラブの歴史を知っていますか。
結成されたのは何年何月ですか。
そのときのスポンサークラブはどこでしたか。
姉妹提携をしたのは、どこのライオンズクラブで、それはいつのことですか。
なんという子クラブを、いつエクステンションしましたか。
今年で結成何周年になりますか。
そして、所属クラブが今までにどんなアクティビティを実行してきたか、また、これから行なおうとしているアクティビティは何かをまとめておきましょう。
執行部って誰のことなのか
― ライオンズの組織とは ―
ライオンズクラブは一つ一つのクラブが、アメリカにある国際協会と直結しています。でも、社会のグローバル化にともない、クラブ同志が協力し合って、より広範囲な地域にアクティビティをする必要性も出てきました。そこで、次のような身近な組織ができています。
★ゾーンってなんだ?
★執行部ってなんだ?
「執行部一任!」というけれど、具体的に誰に一任したのか分かっていますか?
会長、幹事の二人はクラブを代表することが多く「会長・幹事」と呼ばれています。
「三役」は会長・幹事・会計です。
「五役」は「三役」にライオンテーマー、テールツイスターを加えた五人を指します。
そこで、「執行部」ですが、これはクラブによって考え方が違っているようなので、よく確認し、あいまいになっていれば決めておく必要があります。
一般的には理事会構成員のうち理事を除いた役員9人(五役に前会長と3人の副会長を加える)をさして「執行部」という場合が多く、理事会は「執行機関」と呼ばれます。〔会則第8条E(1)〕
★役員ってなんだ?
役員とは会長、前会長、第一副会長、第二副会長、第三副会長、幹事、会計、ライオンテーマー、テールツイスター、理事をいいます。(会則第7条)
副会長以外での副のつく人(例えば副幹事など)は標準版会則では役員ではありませんが、理事会構成員に加えたいときは、クラブ内規で決めておくとよいでしょう。
★委員会ってなんだ?
委員会は会長の諮問機関です。したがって、会長の必要に応じて設置されます。また会長はすべての委員会の職権委員となります。(会則付則第4)
委員会は会長や理事会の諮問に応えて、理事会で、決議する前に十分な調査・討議・検討をして答申する役目をもっています。クラブを活性化するには委員会活動を活発にすることでしょう。(会則第8条)
★例会ってなんだ?
例会出席はメンバーの義務だといわれますが、では例会とはなんでしょう。例会は「一般に関心のあるすべての問題を自由に討論できる場」として設けてあるともいえます。そして例会はライオンズクラブの目的である社会奉仕活動をするための最終決議機関でもあるのです。理事会できめたことを承認する一番大事な会合です。株主総会でもなければ、出席して食事をして雑談をするためだけのものでもありません。
なお、ライオンズクラブの会計年度は国際協会の年度にあわせて、7月に新年度が始まり、翌年の6月に終わります。ということは、日本の年度が一般に4月に始まることとずれが生じることを考え、年度当初の4月に行なわれる各種団体の総会などに出席する人は会長と限らず時期会長候補者などに出てもらうことも考慮する必要があります。また、役員の任期も7月から翌年の6月までの1年間(理事の一部を除く)です。
ルールはなぜ必要なのか
― 会則とは ―
野球は打者が3回空振りするとアウトになりますが、ゴルフでは3回空振りしてもアウトにはなりません。
このように、ルールというものは団体や集団によって異なります。同様にライオンズクラブも独自のルールを持っています。したがって、自分の会社や業界、家庭や自分の経験などのルールを、意見交換もせずにクラブライフに持ち込むと、まとまらなくなるのです。メンバーとして一人前のプレイヤーになることが目的になります。
★ルールはどうなっていて、なぜ守らねばならないのか?
ルールは「常識」です。例えば、出欠の返事を出す。会費や負担金を払う。きめられた仕事を行ない、組織の一員として協力する。こうしたことはライオンズクラブでなくても、社会人であれば当然守らなければならない最低の約束ごとです。そうした「常識」を文章としたものがルールとなっているのです。
現在はほとんどのクラブが「ライオン必携」に掲載されている「ライオンズクラブ会則および付則標準版」をクラブ・ルールとしています。ローカル・ルールが必要な時は内規として決めたらよいと思います。
理事会などでルールを持ち出すと「ルール、ルールとばかり言っているのでは温かみがないし、人間関係がギスギスしてしまう」という人がいますが、ルールがないと、同じことをしても、人によって文句を言われたり、言われなかったりするという差別が出てしまい、かえって不公平になり、人間関係はギスギスします。
また「ライオンズクラブは遊びなんだから、ルール、ルールというな」という意見もありますが、遊びだからこそ厳しいルールがないと楽しく遊べないのです。
ジャンケンだって、グーはチョキに勝つと決めて(ルールとして)おかないと、ジャンケンになりません。チョキを出して負けたとき「今回はチョキを勝ちにする」というのはガキ大将的横暴です。チョキがグーに勝つとしたければ、ジャンケンをする前に決めるべきだと思います。
ルールを無視してわがまま勝手をするガキ大将と遊ぶのは、ガキ大将にお世辞を使う腰巾着だけです。立派な社会人として認められた人だけが、招請されてメンバーになっているライオンズクラブです。社会人としての最低の約束ごとを守れないはずはありません。
ルールは公平・平等で自分の都合でかえることはできないのです。だからルールなのです。ものごとを決めるのに、特定の人間(仲間)に甘くし、別の人間(反対派)には厳しくすることは不公平です。誰にでも平等に接するにはルールを適用し、それを守ることが一番大切なことなのです。
会議はスムーズに!
― ロバート議事規則とは ―
自分の企業の会議においても議事進行がうまくなれるように、理事会や委員会の議事進行で勉強をして、会議につよくなりましょう。会議の時間が足りなくなるのを防ぐには、まずロバート議事規則を研究してください。
★ロバート議事規則に決められている会議の原則
原則1.会議に必要な人数(定足数)を確保する。
原則2.議案の議決は多数決できめる。
原則3.少数意見でも尊重する。
この原則を守るためには、
- 「一人くらい足りなくても、始めていればそのうち誰か来るだろう」といって会議を始めても、定足数に満たない会議は正式会合でないし、決定しても無効になります。定足数が揃ってから始めましょう。
- 「お互い忙しい中をせっかく集まったのだから、一人ぐらい足りなくてもやろうよ」というよりも、事前に出欠を確かめ、出席を促し、定足数を確保する手間をかけることが先です。
- 発言をしたい人は、勝手に発言しないで、挙手をして、議長の許可をえてから発言するように。
- 発言の内容が、意見か、質問か、動議かをはっきりさせてから発言をする。
- 一つの議題の中では、原則として、1回の発言は3~5分以内、一人の人の発言は2回まで認める。
- 一つの議題の中では、出席者が一通り発言するまでは、同じ人の発言を認めない。
- 一つの議題の中で、同じ意見は二度言わない。
- 議長は意見を言わない。
- 賛成意見があったら反対意見がないか、反対意見があったら賛成意見がないか、きいてみる。
- 予め用意された議案以外の動議は、提案者以外にその動議を取り上げることに賛成する者がいることが必要です。
そして、議長はいつも毅然とした態度と発言で進行を取り仕切ることです。年輩者や先輩が挙手もせずに勝手に発言するのをほっておいたり、出席者同士が相談して勝手に決めてしまうのを傍観したり、若い人の言うことだからとか、よく分からない新人の言うことだからと発言を無視したりしないようにしたいものです。
要するに、平常からお互いの意見や考えをよく交換しあって、論議をしておくことが必要です。会議だけで物事を決めるのでなく、その前に論議をしておくのです。
理事会などで「大事な問題なのに、ルールを優先させて、発言時間を制限し、ろくに討議もさせない」という非難がでるのは、情報公開が進んでいないからだと思います。大事な問題は委員会に諮問して、委員会で十分な討議をしたのち、理事会に上程すれば、こうした不満はなくなるはずです。委員会というのはそのためにあるともいえます。
ライオンズクラブのすべての会議は「ロバート議事規則」によって運営されますから、詳しいことはロバート議事規則で確かめてください。(会則第15条)
会員のドロップ防止対策はあるか
― 友を失わない方法とは ―
せっかく入会したメンバーが退会していくのは大変残念なことです。クラブライフが楽しくて、自分にとってメリットがあれば、誰しも退会することなど考えないものです。しかし、会社の都合、病気、その他止むを得ないものはしかたありません。問題は人間関係のもつれや感情の問題だと思います。ライオンズクラブは自我の確立した人間が集まって一つの社会を形成しています。ということは、周囲を無視して自分の思う通りにしようとすれば、必ず反発があるのが普通です。グレシャムの有名な法則「悪貨は良貨を駆逐する」を適用させないようにするのが、大人の智恵です。
★友を失う方法
「自分の意見を無理やりに押し通す」
「自分の利益だけを第一に考える」
「他人の気持ちを考えない」
「ルールを無視する」「人をけなす」
「成功は自分の力に、失敗は他人の責任にする」
「自分の殻から抜け出さない」
「皆の中に入っていかない」「人と協力をしない」
「自分も同じことをしているのに、他人がしていることを非難する」「物事に責任を持たない」
「自分がいつも中心になっていようとする」
「金銭にだらしがない」…等々。
「こんな人とは友達になりたくない」と考えていくとまだまだ出てきます。また、こういう人がクラブで力を振るうと必ず退会する人が出てくるのが普通です。なによりも怖いのは、自分がそうしたことをしていても、自分ではそれに気がついていないことです。
★時によってはドロップを恐れないこと
自分の思う通りにならないからといって「私は退会する」という人を止めないのも、その他のメンバーの退会を防止する一つの方法です。その人に譲歩して、言うとおりにすればその時は退会を思い止まっても、また次に思う通りにならない時があると、また「私は退会する」といって自分の希望を通してしまうことが多いのです。
結局はその人の個人感情でクラブが動かされていることになります。クラブは個人のものではありません。
また、ときによっては除名という結果になることも恐れずに退会を認めてあげるべきです。除名をするのはクラブとして不名誉だという意見もありますが、除名もできないようなクラブの方が社会的信用は落ちます。クラブとしての誇りを持ちたいものです。(会則第6条)
間違いやすい運営や処理をしていないだろうか
― 惰性に流されないためには ―
慣れというものは恐ろしいもので、最初は誰しも慎重に考え、実行していたことであっても、同じことが度重なると、つい考えずにそのままいつもの通りに無意識に繰り返しているものです。そして気がついてみると周囲の状況がすっかり変わっていた、ということにならないようにしたいものです。毎年同じことと思われることであっても、時には立ち止まって、もう一度考えてみることもしてみてください。
1.チャリティ・ゴルフをやって適当に資金を集めてから、アクティビティ先を探すのではなく、どうしても実施したいアクティビティがあって、それに必要な資金はいくらあればよいのかを考え、そして必要な資金を集めるのがライオンズクラブとしてのチャリティのあり方ではないでしょうか。
また、アクティビティ先に対する奉仕活動は「昨年と同様に」と安易に決めるのではなく、よく調査・検討したいものです。物価の上下、アクティビティ先の状況の変化などによって、必要とする金額当が変わる場合もあるのです。
継続アクティビティは、どこまで達成されたら自立をしてもらうかという目標を設定するのも方法です。ある特定の団体だけを支援するサポーターも必要ですが、新しい支援先は「浜の真砂」と同じにいくらでもあるのです。自立のきっかけをつける支援をして、自立したら新しいアクティビティ先を、光の当たらない世の隅から探してくるのがライオンズクラブのアクティビティのあり方の一つです。
ユダヤに「飢えている少年に魚を与えても、食べてしまえばまた飢える。魚の捕り方を教えれば一生飢えない」という諺があります。
2.例会出席は、メークアップするよりも、できるだけ自分の所属クラブに出席するのが本当だと思います。所属クラブに出席すれば、ドネーションも、労力アクティビティも所属クラブにできるからです。まず所属クラブで活躍しましょう。
しかし、他クラブの例会に出席して、色々な例会形式を参考にして所属クラブの活性化を図ったり、交流の輪を広げたりすることも大事なことです。
3.クラブ運営については「口を出すより金を出せ、金が出せないなら労力と知恵を出せ」をモットーにしたいものです。口を出すけれど金も出すのならまだいいのですが、一番マイナスになるのは金も労力も出さずに口だけを出すことだと思います。
4.奉仕団体と慈善団体とは違います。年度始めになると、いろいろな団体から寄付の要請があるのが普通です。金をくれというからあげるのは慈善であって、なんとか自立しようと自力で必死に努力している人たちを探して、要請がなくても、こちらから一緒になって手伝うのが奉仕ではないでしょうか。
5.アクティビティの資金を集めるためにいろいろなチャリティ行事、例えばチャリティ・ゴルフ大会、チャリティ・バザーなどを行いますが、主催がライオンズクラブだし、参加者を勧誘しやすいからと他クラブに協力を求めるのではなく、できるだけ広く地域社会に働きかけ、参加者にはメンバー以外の人たちを集めて、貴重な資金や労力を提供してもらい、同時にライオンズクラブの実施するアクティビティの目的をよく認識してもらうこと、それが、ライオンズクラブの地域社会に対する指導力を発揮することだと思います。
なお、アクティビティ資金を他クラブの会員に求めることは、国際会則第12条4項に抵触する恐れがあるとの見解も出ています。
6.例会に「幹事報告」の時間があります。「理事会報告」という場合もありましょう。しかし、幹事が一生懸命話しても、それを聞いているのは少数の人で、大半のメンバーが私語雑談をしているというクラブも見受けます。幹事も、機械的に報告するだけでなく、メンバーもただ聞くだけでなく、報告されたことに対して承認をするのが例会です。例会はクラブの最終決議機関であり、クラブの先行きを決めていることを忘れないように。